岩代駅探訪記

しまった!これでは「南部の前の」岩代駅だ(爆)


 ゴールデンウィークを利用して、前から行きたかった、岩代駅を訪ねてみました。

 南部駅前の旅館に荷物を置き、各駅停車で和歌山方面へ一駅戻って、岩代駅に着きました。列車が行ってしまうと、かすかに潮騒が聞こえてきます。早速「テングサの歌」の歌詞を検証してみることにしました。周りには誰もいないので、歌を口ずさみながらホームを歩きます。ホームには、和歌山方面に屋根付きのベンチ、南部方面には、小さい簡易ベンチがそれぞれありますが、さすがにテングサは乗っていません(^^;海は松林がじゃまをして、直接ホームからは見えませんが、改札へ渡る跨線橋の上からは、見ることができます。跨線橋を渡って改札を出てみます。近くを国道42号線が走っていて、車はじゃんじゃん通っています。この駅は無人駅になってから久しいようで、駅長さんはいません。当然帽子も転がっていません(^^;

 こぢんまりとした駅舎は、海とは反対側の方向にあります。改札を出ると、左手に小さなおいなりさんがあります。後ろに生えている木はソテツのようです。やはりこの辺は、黒潮の影響で温暖な気候のようです。駅の周りを散策してみることにしました。海へ出る道はないかな?と、駅前の道を右へ歩いてゆくと、300mほど行ったところに小さい踏切がありました。踏切を渡ると、磯の香りがしてきます。コンクリートの階段を下りると、砂浜へ出ることができました。目の前に広がる海は、紀伊水道です。船は通っていませんでした。岸辺には、海草(テングサかと思いましたが、浮き袋があるのでホンダワラのようです)やゴミが打ち上げられていて、あまりきれいではありません。記念に貝殻かなにかないかな、と探しますが、何もありません。南西の方には防波堤があって、釣りをしている人たちがいます。その向こうは磯になっているようなので、そちらへ行ってみることにしました。岩場は一面茶色の海草に覆われています。岩場を歩いていると、自然に「ここは春の国」の歌詞を口ずさんでしまいました。もしかしたらこの歌は、浩子さんが岩代駅で途中下車して、この浜辺を歩いているときに作ったのかも知れないな、などと考えてしまいました。潮だまりに生き物を探してみると、小さなやどかりがたくさんいました。ここでも貝殻を探すと、ヒザラガイが一枚見つかったので拾いました。

 1時間ほど浜辺を歩き、ちょっと疲れたので駅へ戻ります。松林を越えて踏切を渡ると、あれだけしていた磯の香りがほとんどしなくなりました。防潮林というのは、確かに効果があるもののようです。駅へ戻って駅舎をあちこち見てみます。浩子さんに関係するものはないかな?と探してみますが、何もありません。ホーム側の壁に、消えかかった文字で「カンテレ」というのが読みとれる以外は、浩子さん的な落書きはありませんでした。思いつきで、「ガラトマノート」ならぬ「岩代ノート」でも設けようかな、と考え、駅前の薬屋さんに入ってみますが、ノートの類は置いていないということでした。もっとも設置したとしても、心ない人にいたずらされるのが関の山かも知れません…。

 この駅には切符の自販機はなく、改札口の所に、乗車駅証明書の発行機があるだけです。ボタンを押して、証明書をもらいます。ホームで南部へ戻る電車を待つ間は、静かな時間が流れます。空はあいにくの曇り空ですが、ほんの少し日射しがあり、暖かい穏やかな日和です。潮騒の音が耳に心地よく、いつまでもこのままでいたい気分です。やがてホームのブザーが鳴り、列車がやってきました。乗り込んで駅を後にし、約2時間の岩代駅探訪は終わりました。

(2001年4月28日)